中里花子さんの器

和の器であって、和の器でない 『中里花子さんの器』

中里花子さんに出会ったきっかけは、彼女の父である陶芸家、中里隆さんの器とその人自身に興味を持ったことが始まりではあるけれど、もはやそれはどうだっていい (笑)。今から4年前、中里隆さんの工房である隆太窯に初めて取材でに訪れ、その流れで唐津の旅館、洋々閣を訪ねたときのこと。そこは隆太窯のギャラリーも兼ねていて、中里隆さん、長男の太亀さん、そして花子さんの器が展示されていた。私はそこで初めて彼女の白磁を見て、衝撃を受けたのだ。とろりとしたミルキーな質感。それはなんとも言えず独特で、そしてそのフォルムは、シンプルでさりげないのに、とてものびやかでダイナミック。何ものにもとらわれない、使い手の気持ちをスカッと晴れさせる、すがすがしさに溢れていた。そして2年前、再び隆太窯を訪ねると、彼女はアメリカでの陶工生活にピリオドを打ち、唐津に窯を開く準備のため、帰国していた。彼女にひと目会った瞬間に、グイッと引き込まれた。その元気で溌剌とした彼女そのものが、器に投影されているんだなと、そこで納得したのだ。

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昨年11月に、めでたく工房が完成したというので、彼女のもとを訪ねた。唐津駅から車でわずか10分ではあるけれど、そこは人里離れた緑深い山の中。グレーのガルバリウム張りの小さな長方形の箱が、花子さんの工房「monohanako」。工房の名前は、焼き物の「物」と英語で「たったひとつの」という意味を持つ「mono」とをかけたもの。「手作りのよさって、ひとつひとつが違うところ。人間の歩調と同じで、気分によって違ってきます。焼き物は、そのときの気分をカタチにしたもの。だからひとつとして同じものはないんです」。花子さんは、土の重さも量らなければ、寸法も取らない。すべては手にとったときの感覚で決める。「私はフォルムが好きなんです。そして、自分の動きが土に響いて返ってくる、その反動が好き」。花子さんの器のルーツは唐津焼ではあるけれど、そこにフォルムの美しさやモダニズム的要素が肉付けされて、花子さんらしさが生まれている。和の器であって、和の器でない。それが花子さんの器の魅力。

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「私はルールのない器を作りたい。私の器は“なんでもあり”なんです。作り手の想像力を超えて、物としていろいろな使い方をされて変わっていく。そういう物を作りたい」。千利休が、かつてそうだったように、使い手がもっとアヴァンギャルドに、自由な発想で面白がれる。そういう器を花子さんは目指している。「私が大切にしたいのは日常。日々、変化あり。季節、季節を楽しむ。そうした日本人ならではのメリハリのあるライフスタイルに器は欠かせないもの。私の器も、そういうものでありたい」と花子さんは言う。そんな花子さんの思いに負けないくらい、もっと自由奔放に、心の赴くままに器を楽しみたいものだと思う。

中里花子さんの器

『中里花子さんの器』

住所佐賀県唐津市見借4848-20
最寄り駅唐津駅
TEL050-3458-8925
営業時間常設展示は
隆太窯ギャラリー
ギャラリー一番館
定休日

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