大吉

野菜たっぷりチャイニーズ 『大吉』

私がこの店に初めて食べにきてから、少なく見積もっても15年は経っていると思う。「大吉」がオープンしたのは17年前だというから、かなり長く通っている客のひとりということになる。こう言ってはなんだが、お世辞にもおしゃれとは言えない超庶民的な店である。なにしろ店の外には、ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン…。料理と値段が書かれた蛍光色の紙がベタベタと貼ってある。店に入れば、テーブルも椅子も真っ赤っ赤。そしてマダムのユ・ゲッカさんの制服は真っ黄色。そう、ザ・チャイナカラー!なのだ。

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あまりにストレートすぎて、思わず私は笑ってしまった。ここまでやってくれちゃうなんて、うれしすぎる。そしてこの店は絶対信用できる、そう確信したのだ。実際、ここの料理はしみじみするほどおいしい。とくに野菜が秀逸で、おいしいだけじゃなく、胃にもたれない。喉も渇かなければ、翌日の体もとにかく軽い。「どうして?」と訊ねると、「素材がいいからね。塩味のうす味が上海風」とマダム。なるほどね。そして今回、私は初めて厨房に入り、ここの料理がどうしてこんなにも体にフィットするのか、その本当の理由を知ることになる。

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厨房では、オープン当初から料理を作る林さんが黙々と中華鍋を振っていた。その様子をじっと見ていた私に、マダムが言った。「うちの炒め物、日本酒を使っているの」。そのひと言で、私は合点がいったのだ。よく「本場の味をそのまま」とか「日本人向けにはしていない」というのが売り文句になるけれど、私はそうは思わない。食べものは、本来、土地に根ざしているもの。日本で、日本人が食べるのだから、「中華」の核さえしっかりとらえていれば、そんなに頑なである必要はない。それに対して「大吉」の、なんとナチュラルなことか。日本人が食べるのだから、日本酒を使う。それを何の衒いもなく、ごく普通のことのように、自然にやっている。ただそれだけのことなのだけれど、そういう店は意外に少ない。

大吉

『大吉』

住所東京都世田谷区世田谷4丁目7-3
最寄り駅東急世田谷線世田谷駅
TEL03-5450-4557
営業時間月~金11時30分~14時30分、17時~翌1時 土・日・祝日11時30分~翌1時
定休日水曜
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