小料理 まめや

『小料理 まめや』 昭和の家で酒と肴を

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 銀座、築地の近く、下町の暮らしがいまに残る新富町に、小造りだけれど手造りのヘルシー料理と酒でもてなす和食のお店があります。

 「まめや」は、女将の聡子さんとご亭主が「四十女将計画」にのっとって2005年にオープンした小料理屋さん。まだ「新米」ながら、江戸文化にゆかりある街・新富町で、なじみのお店へと育ちつつあります。

 店内は、今の銀座には珍しい昭和の木造一軒家を友人の建築家の手を借りて改築した、これもむかしの下町暮しを偲ばせる情緒あふれる内観。そのまま残された襖につづく、L字型の白木のカウンターには、家庭的な創作和食や郷土料理、その日その日の酒と小鉢がならびます。

 以前は恵比寿にデザイン事務所を開いていた聡子さん「四十になったら小料理屋で女将でもやろうと、以前から憧れていたんです。新富町にはほんとうは自分のデザイン事務所を探しにきたのですが、そのとき、たまたまこの昭和の時代に建てられたこの木造一軒家の物件に出会って、思わず「これだ」って。銀座や築地市場からも近いし、なによりこの都心の隠れ家のような雰囲気のあるお家でお店を開けたらいいなと」と語る。

 ありし日には黒塀の料亭が建ち並び、華やかな遊び場としても栄えた新富の街。「以前は料亭や待合、お茶屋さんなどもあってだいぶ華やかだったみたいですね。いまも小唄踊りのお師匠さんたちが多く住んでいられて、江戸気質が生きている街です。会社が多いので、店にくるお客さんは単身赴任のサラリーマンの方がよく通ってくださいますね。添加物をつかわない、野菜と魚を中心にした体にやさしい料理がほとんどなので、喜ばれます。小鉢を肴に一杯、シメはご飯で、というお客さんが週一ぐらいのペースで。あと、うちは和食処にしては珍しい完全禁煙の店なんですね。ですから、女性のお客さんには好まれます。気心の知れた女友達どうしで、呑み、話し込んで、身も心も気持ちよくきれいになってお帰りいただきたいです。揚げ物やお肉のメニューが少なめなのも、お客さんにもっと野菜や魚、ご飯を食べて元気になってほしいから。お酒は満寿泉をはじめ福祝などの地方酒、ビール、ワインや焼酎、女性の方にも好評なカクテルなども揃えています」

 そんな「まめや」の人気メニューは、ご亭主のつくる「助六寿司」と「さつまごはん」。コシヒカリはお店を開く前から食べていた千葉のアイガモ農法の米農家から、かんぴょうやいなり寿司の油揚げは、聡子さんの実家でもある岐阜のお寿司屋さんと同じものをつかっている。「女性は呑んだあと少しご飯物を食べたくなりますし、お米が好きな方が多いですね。森さんのお米は酢飯にするとパラパラになるのに、食べると一粒一粒がとってもモチモチしてるんです。お持ち帰りされるお客さんも多いですよ」。以前からホームパーティーが好きで、店を開いたのもその延長のようなところがある、とご亭主。「いい意味で、アマチュアの愉しさみたいなものは忘れたくないですね」

 気候のいい頃は裏木戸を引き開け、格子窓の障子を開いて風を通す。木の枠からあたたかな家の光が溢れ、風鈴を涼やかに鳴らして、下町の風が長屋作りの路地を抜けていった。友人のような気遣いで、さりげなくもてなしてくれる「まめや」さん。銀座の裏手、昭和の懐かしい家で、止まった時を動かしていくみたいに、ゆっくり、一人占めにして行きつけにしたくなるお店です。


店内は白木のカウンター8席。下町情緒あふれる民家をそのまま活かしたつくり。完全禁煙なのもうれしい。畳間だった部屋に二人で手を入れ、板を敷いた。いまと昔がここちよく同居している。左手の引き戸を開け放つと、すぐ長屋路地である。

ところどころに風情ある飾り付けが、さりげなくしてある。これも「四十女将計画」のひとつ?


人気メニューの「助六寿司」(700円)。かんぴょうとおいなりさんの油揚げは、「岐阜の義父」聡子さんの実家のお寿司屋さんと同じものを。女性にも、単身赴任のサラリーマンにも大人気。

小鉢は3点選んで800円。日替わりだが、左から時計回りで「鶏レバーワイン煮」「人参と昆布のマリネ」「鰯の生姜煮」は定番。ほかに野菜たっぷりの揚げ浸しなど、女性らしいこころ遣いのヘルシーなメニューが多い。聡子さんの師匠は荒木町で長年小料理屋を営んだ、ある女将さんだったそう。


これがイチオシ、瀬戸内の郷土料理「さつまごはん」(800円)。白身魚を焼いたものを味噌、胡麻とともに摺り鉢であたったものが「タネ」になっている。これをお湯でほぐして、ルー状にする。

あったかいご飯のうえに乗せてできあがり。焼き魚と味噌、胡麻の風味がなんとも食欲をそそって、ご飯は何杯でもイケます。味は「冷や汁」に近いかな?ご亭主の両親が生まれた島の漁師料理。これはもう日本酒で一杯、ですね。


昔の家は情緒があったなあ。銀座の喧噪を忘れる静かな路地の家で、盃をあげ、肴をつまみ、耳を澄まします。微かに虫の音もたって、仕事でささくれた心もゆるりと元に戻る。一人でも、友人とでも、思い出にのこる愉しいひとときが過ごせそう。お酒も、日本酒、ビール、ワイン、焼酎、カクテルと取り揃えてある。

予算は1人3,000円から。3,500円の「おまかせ」(要予約)コースもあって、リーゾナブル。8名以上なら貸し切りも可。冬は鍋料理もあって、二階にはお座敷もある。4~5名ならば1人8,000円のコースも注文できる(食べ物はおまかせ、飲み放題つき)。


小料理 まめや

『小料理 まめや』

住所東京都中央区新富1-7-12
最寄り駅有楽町線新富町駅出口3から徒歩2分 日比谷線八丁堀駅出口A3から徒歩7分 
TEL03-3206-3155
営業時間18時から22時30分(LO.22時)
定休日日・月曜日 祝祭日
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【Release】 06.09.16

【取材文】 石田瑞穂

【写真】 松川智一(クラッカースタジオ)

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