
『マダムキコ』 ワインを美味しく手ほどきする、パスタと料理の店


2005年5月8日に、カレー屋さん「ムッシュヨースケ」の2階でオープンした「マダムキコ」さんは、今注目されている贅沢な「パスタと料理のお店」。看板には「Pasta」とありますが、じつは、常時400本以上のワインをセレクト、本格的なフレンチのコースも充実した興味津々のレストランなのです。
昼はプティ・サラダ、パスタ、ドリンクの気軽な「ランチセット」を中心に、夜はシェフ自ら築地に買いつけに行く、新鮮な魚介と地野菜、お肉を料理した瑞々しいフレンチの一皿と、マダムのとりそろえたワインやフロマージュ。「Pastaのディナーコース」も女性にジャストなポーションが人気です。
「キコ」さんことオーナーの松島京子さんは、好きが嵩じて表参道のワイン・スクールに通い、ソムリエ資格まで取得してしまった、大のワイン党。料理人としてではなく、ながらくワインを愉しみ、さまざまなワインと巡り会ってきた一人として、「ワインのおいしさと深さを伝える」仕事をいつしか志していたのだそう。その想いと冒険心が、今の「マダムキコ」というレストランのかたちになりました。
そんなマダムが招いたのが、東京のレストランで修行を積み、パリの17区にある二つ星レストラン「ミッシェルロスタン」でも腕を磨いた、平尾光司シェフ。「パスタはできるだけシンプルに、複雑なものにはしません。パスタはコースのなかのひとつのパートですから、次にはお魚やお肉の料理も食べて欲しい。お客さまには自然な流れのなかで、お味も、ポーションも、充分に楽しんでいただけるパスタをご用意しています。」
シェフおすすめのパスタ「イカとブラックオリーブのタプナード」(1,470円)は、黒オリーブ、アンチョビ、にんにくやオリーブオイルをミキサーにかけたタプナード(ソース)が、とろっとしたオクラの粘りのうちに新鮮なイカや季節の野菜とからみあう一品。オクラの粘りをうまく利用し、麺に黒オリーブとバジルのかぐわしいソースが存分に乗って、シンプルながら、山の幸と海の幸のやさしく沁入るあじわい。「シンプルなだけに、素材の新鮮さにはとくに気をつかいますね。魚介、肉にかぎらず、野菜はかならずその季節の旬のものを、可能な限りオーダの直前に下ごしらえします。パスタだけではなくて、すべての料理にはできるだけ多くの品目の野菜を入れるようにしています。」
平尾シェフのきょうの自信の一品「新さんまの網焼き夏野菜のマリネ」(1,500円)は、この日の朝、シェフが築地で仕入れてきた新さんま。網で表面の皮をカリカリに香ばしく焼いて、なかはほとんど生のミディアムレア。オーダーが入ってからおろす質の高い新さんまは、とにかく馥郁とした香りがすばらしく、これからはじまる旬を満喫できそう。
マダムも「タプナードもマリネも、やはりワインと楽しんでいただきたいですね。たとえばチェスコー二・オリヴァール、ヴィレーヌ・ブーズロン・アリゴテといった白ワインとあわせて。重く渋みのある赤ワインを好む方も多いのですが、この料理ならほんとうの白ワインの美味しさに出会える。白もすごく魅力があるんだよってことを、ふだんワインを飲まれない方に知っていただけたり、またワイン・ファンの方にも再認識していただけると思います」とおすすめ。
「ワイン、料理、パスタ、どれを自由に頼んでもお客さまに満足していただけるレストランが理想ですし、目標です」と語る松島京子さん。料理人ではなく、あくまでお客さんのニーズからレストランをプロデュースする「マダムキコ」のこまやかなスタイルは心地いい。「スタッフのチームワークも良くなってきた」と楽しそうに采配するマダムのパスタ屋さんは、ワインと鮮やかなフレンチ、パスタで、時を忘れて何時間もいたくなるレストランでした。
オードブルの「新さんまの網焼き夏野菜のマリネ」は二人分のポーション。オーダーが入ってからすべて切り、茄子は手で割く。旬の青唐辛子がきれいで、食欲をそそります。新鮮な野菜は味が濃くて、すごく歯ごたえがいい。「日本人は野菜を喉で味わうと思うんです」と平尾シェフ。
客層は若い女性から年輩の夫婦まで。お店のある東山のお客さんがほとんどだが、遠方からも来客がある。ワイン好きのお客さんもいて、「ときどきむずかしいご注文を受けます」のだそう。落ち着いた大人のムードで、料理とワインに乗せて会話も弾みそう。マダムみずから接客に立つ、こまやかなサービスも嬉しい。
マダムキコ推奨の季節の白ワイン、左からCesconi Olivar 2004(6,800円)とVillaine Bouzeron 2004(4,500円)。「オリヴァールは清涼感のあるすきっとした辛口。北イタリア産の白ワインながら、時間が経過していくにつれ、ブドウの芳醇さと深い味が際立ってきて、どんどんおいしくなってくる。ブーズロン・アリゴテはブルゴーニュのマイナー種のワイン。アリゴテというと酸味というイメージがありますが、このブーズロン・アリゴテはとてもさわやかで、端麗辛口。値段的にもリーゾナブルでおすすめです。」
赤ワインも紹介してもらいました。Beaune 1er Cru LesChovacheux2002(7,800円)のピノノワール。「シャンタル・レスキュールのつくるピノで、ほんとうに繊細なワイン。ブルゴーニュの赤は私にとって「ワインの入口」のようなワインなんです。繊細で、まるで人をやさしく包みこんでくれるようなテイストに、おいしいな〜って魅了されました。思い出のワインです。私のなかで「きれい」な感じのするワインが、選びたくなるポイントですね。」
シェフをはじめ、スタッフは平均年齢20代と同年代の若手が多い。それも「マダムキコ」の特徴かもしれない。厨房から繰り出される料理は、基本に厳しくありながら、どれもフレッシュな感性に充ちている。「スタッフの結束とテンションも高くなってきました」と、マダム。
予算は二人でコースを食べてボトルをシェアすると、一人10,000円から12,000円くらい。もちろん、オードブル一皿、グラス・ワインからでも気軽に楽しめる。一人で訪れる女性客も多いとか。おまかせの「シェフのおすすめコース」もある。
『マダムキコ』
| 住所 | 東京都目黒区青葉台3-21-132F |
| 最寄り駅 | 中目黒駅より徒歩15分 |
| TEL | 03-3716-9222 |
| 営業時間 | LUNCH 11:30〜15:00(LO) DINNER 18:00〜22:00(LO) |
| 定休日 | 火曜日 |
| 地図>> サイトを見る>> | |
【Release】 06.08.18
【取材文】 石田瑞穂
【写真】 松川智一(クラッカースタジオ)



