
『台湾屋台ハル』 ファン多し、クセになる本場台湾屋台の味。


宮益坂を少し上った、渋谷郵便局横の路地。そこにある「台湾屋台ハル」の扉を初めてくぐったのは、いつだったでしょう。昔なじみの良店が次々と消え、チェーン系ダイニングが増えるにつれ、心から落ち着いて呑んで食べられる店が失われていく。そんな時、勘が働いてぶらりと入った「ハル」の「腸詰め」が、おいしかった。桜色に茹でられた自家製ソーセージは肉汁が薫りよく、フワッとやわらか、ジューシーで、カウンターの奥にはお客さんの話に微笑みながら中華鍋をふるう女料理人。夏の暑い夕方、腸詰めをおかわりしながら、渋谷の路地裏で冷えた生ビールを空けつづけたのを憶えています。久々に、嬉しい店との出会でした。
醤油とにんにくで漬けた生のしじみ、酢をつけないで食べる水餃子のうまさ、プリプリの海老マヨネーズ揚げ、口のなかでとろける大根餅、真菰の炒め物を最初はビール、つぎに店主ハルさん自慢の紹興酒で舌鼓を打つ。紹興酒は老酒瓶から「上澄み」だけを汲み出した、逸品。「良き酒は水の如し」と言いますが、この紹興酒は、紹興酒独特のいがみがなくて、水のようにさわやか。飲みやすく、いくら飲んでも二日酔いにならない。〆は、野菜だけでとった白湯スープに、鰹、赤唐辛子などで下味をつけ、寝かせた特製ひき肉を和える坦々麺かジャージャー麺、顔から火がでるほど辛い酸拉麺もいい。呑んで食べて、なんと会計は一人2000円前後とリーゾナブル。
ハルさんの料理はマヨネーズから特製の醤油タレまですべて手作り、科学調味料はいっさい使いません。価格だけでなく、お客さんの健康にも配慮する台湾家庭料理が、ハルさんのスタイル。それは「本場台湾の屋台みたく、同じお客さんに毎日のように通ってほしい」からだそう。定食屋価格でこれだけ本格的な中華が楽しめるなら、文句ないでしょう。もちろん、オーヨーチーといったスイーツ、高山茶も充実していて、お酒をたしなまない人もOK。金曜日の夜は女性客でいっぱいになって、それは賑わいます。
常連客が多く、ファンの多い、「ハル」。ハルさんは台湾のホテルで修行。日本人と結婚し、かつては恵比寿でみずから厨房に立ち、流行店を経営。料理人として20年以上のキャリアの持ち主です。本サイト「kusudama」の「母なるレシピをさがす ● ハルさんの台湾家庭料理」の連載でも活躍中。また、最近は、テレビや雑誌などでお目にかかる機会も多いハルさん。それでも、変わらずマイペース。お客さんが入ってくると、「お腹すいた?今日はなににする?」と飾らない笑顔で迎えます。料理のことならなんでも教えてくれる、「マーマ」(中国語で「お母さん」)のような料理人です。
「ほんとうにおいしい餃子は、なにもつけずに食べる」水餃子(税込価格525円)ジャージャー麺(上写真・税込価格735円)と必ず食べたい逸品です。ビールとの相性はもう最高。ほかの餃子は食べられなくなります。
食品メーカーが食べにくる謹製オーヨーチー(税込価格315円)は、添加物いっさいなし。舌にさわやかに沁入るやさしいデザートは、あればラッキー、必ずお試しあれ。
坦々麺ほかハルさんの料理のすべてのベースになる野菜スープ。あっさりしつつ深い滋味のあるハル流台湾屋台料理の秘訣がここに?体にもヘルシー。
瓶の上澄みの部分だけを詰めた紹興酒「特級」(税込価格630円、「一級」は525円)は「お客さんへのサービス」。紹興酒の概念が変わります。
OLさんからオジサマまで、常連客、ファンが多いのは店主・ハルさんのあたたかで気さくな人柄によるところも大きい。毎夜、テーブルというテーブルに、個性鮮やかな「常連さんボトル」が並びます。
店内はカウンター、テーブル17席。混んでいることも多いので、予約を入れるが吉。ランチは700円から。夜は2,000~3,500円ぐらいを予算の目処に。予算にあわせておまかせコース、小規模な宴会コースもあります(要相談)。
『台湾屋台ハル』
| 住所 | 東京都渋谷区渋谷1-9-14石栄ビル1F |
| 最寄り駅 | JR渋谷駅宮益坂交差点出口から徒歩4分 |
| TEL | 03-3407-7378 |
| 営業時間 | 昼12時〜14時(LO) 夜17時〜22時(LO) |
| 定休日 | 日曜日 |
| 地図>> | |
【Release】 06.07.14
【取材文】 石田瑞穂
【写真】 山下裕司(クラッカースタジオ)



