
『田鶴濱守人』 くらしと時が育てる器


托鉢僧のつかう鉄鉢のような、質素でモダンなフォルム。錆びた鉄を思わせる、人に媚びない繊細な表情をもった、しずかな角皿。
陶芸のメッカ、愛知県常滑市で作陶にはげむ注目の若手、田鶴濱守人(たつるはま・もりと)。そのひとの展示が見たくて、西荻窪「魯山」に出かけました。
鬼板と呼ばれる、鉄分を多くふくんだ固い粘土層、それといくつかの黄土を挽き混ぜてつくられる、田鶴濱さん独特の釉薬。一見、焼締のように見えますが、この常滑で採れた土から生まれる釉薬が、あのうつくしい鈍色の肌を発色させるのです。
「陶芸をはじめる前は油絵を描いていました。だからでしょうか、器そのものよりも自然の風景に僕は触発されることが多いんです。たとえば、ある風景のなかにたたずんでいる古いコンビナートや工場のタンクとか。以前はピカピカで凛としていたものが、いまは自然とせめぎあって朽ちている。その時間とともにあるものの表情が、好きです。人からは「古道具みたいだね」とか「古い 金属のような質感がいいね」といわれるんですけど、僕が求めているのはそのコピーではなくて、時間とともにあってやわらかくなったり癒されていくものの表情なんです。道ばたの石だって、磨かれて、丸くなっていく。自己主張はしないけれど、時がつくる人の技を超えたちからに、僕は惹かれます。ですから、願わくば、ぼくの器もそうあってほしい。くらしのなかで時をかさねて、つかう人とともに育っていく。そんな器づくりをめざしたいです。」
ボウル(3,700円)の肌と形はてのひらに乗せた感触がしっくりとなじむ。おおらかでいて凛とした器には煮物やお米、生野菜、なにを入れてもいいのでしょう。角皿(3,900円)には、これからの季節、やっぱり、焼き魚。暑い夏の食卓に、秋にむかう晩酌に、自然と手もとにあってほしくなる器です。
『田鶴濱守人』
| 住所 | 東京都杉並区西荻北3-45-8ペルソナーレ・西荻1F |
| 最寄り駅 | JR西荻窪駅 |
| TEL | 03-3399-5036 |
| 営業時間 | 11時から19時 (取り扱い店・<a href="/select/d0mt3h00000012a7.html">魯山</a>) |
| 定休日 | 火曜日 |
| 地図>> | |
【Release】 06.08.11
【取材文】 石田瑞穂
【写真】 山下裕司(クラッカースタジオ)
