劣等生の逆襲 〜蓮根〜

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 汚い泥の中から清純な花を咲かせる蓮は、極楽浄土に見立てられて仏教と深く結びついています。仏像の台座に蓮の花をモチーフとした装飾が施されるのもそのためです。もちろん蓮花も素敵ですが、泥の中の蓮根も素敵です(詳しくはレシピの方をごらん下さい)。  現在、蓮根生産1位は茨城県で、主産地は土浦市・霞ケ浦町といった霞ケ浦西北奥部の沿岸になります。1970年代以降、政府の減反政策もあり、稲作水田の蓮田への転用が進みました。もともとこの付近は、低湿地・泥質土壌(同じ低湿地でも砂質土壌の方が稲作に適している)という条件のため、水害と排水の悪さで水田としては上質ではなかったようです。そうした悪条件のためか、1960年代に至っても、排水路や水田の区画整備といった基盤整備が遅れ湿田のまま取り残されていました。ところが逆に、こうした稲作にとっての悪条件が蓮根の栽培には最適であったため、都心に近いということもあり、ついには日本一の蓮根生産地となったわけです。  つまりそれまでは、低湿地・泥質土壌という悪しき自然条件を克服しながら稲作を作っていたが、より自然環境に適した蓮根生産に転じて成功したということでしょう。自然条件は多様ですので、その多様な形に人間が合せるのか、逆に人間が働きかけて環境を変えて行くのか、そのあんばいが難しいのでしょうね。

【挿絵解説】「名産蓮根図」「立田曲輪の蒲穂」『尾張名所図会附録』愛知県郷土資料刊行会、1971年より 同書は嘉永6年、小治田之真清の著。名古屋も都市化以前は蓮根の名産地であった。立田輪中は本来、豊かな耕地であったが、川下の新田開発により湛水するようになり「蒲穂」図のような風景になったという。同図には蓮もみえる。立田は愛知県立田村、木曽川東岸。

【参考文献】・田野宏「霞ケ浦岸低湿地の土地生産条件と蓮根生産の展開」『地理志叢』45-2、2004年 ・田野宏「霞ケ浦沖積低地の土地条件と蓮根生産」『地理学評論』56-1、1983年 ・山本正三他「霞ケ浦沿岸地域における蓮根栽培」『霞ケ浦地域研究報告』2、1980年

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