美味しいタケノコへの道のり

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 名品京タケノコの産地では、タケノコ栽培用の竹林は「竹畑」と呼びます。“畑”というくらいですから、竹の成長の邪魔になる雑木の根株を取り除き、大量の肥料を施し、下草を敷き土壌を載せるなどの手入れが必要です。収穫にあたってもタケノコと根を傷つけないような特殊な鍬を用います。こうした手間をかけてようやく軟らかく風味の良いタケノコができるわけで、美味しいタケノコが勝手に生えてくるのではありません。  またタケノコは新鮮さが命なので輸送手段も重要です。良品の生産は栽培技術だけでなく、特殊な鍬を作る鍛冶の技術や、輸送技術など周辺技術の複合によって成り立っています。ですから、その一つでも欠けると全体が機能しなくなるわけです。逆に、美味しいタケノコを追求して様々な技術を発展させたともいえます。  現在、最も一般的なタケノコの品種は”モウソウチク(孟宗竹)”です。別名江南竹というように中国江南地方の原産です。当初は鑑賞用としてもちこまれ、食用とされたのは江戸時代の終り頃です。京タケノコの産地、京都府長岡市域でも、栽培が盛んになったのは幕末維新期であり、それ以前は、マダケ・ハチクといった在来種の竹が食用栽培されていました。孟宗竹の食用への転用も、より美味しい品を求めた故でしょう。

【挿絵解説】奥海印寺寂照院の図『日本名所図会全集 都名所図会(安永9、1780年刊)』名著普及会、1975年より 長岡京市のタケノコは寂照院が中国土産として入手した孟宗竹がもととされる。絵左下の民家の周囲には竹が植えられているのが見えるが、まだ孟宗竹ではなく在来種でしょう。

【参考文献】・長岡京市教育委員会『京タケノコと鍛冶文化』、2000年 ・明治20年「今里村沿革取調書」 ・明治35年「京都府農会報」123号(『長岡京市史資料編3』1991年所収 451・678頁)

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