赤飯はなぜ赤いのか

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 「赤飯はなぜ赤いのか」という問は、”なぞなぞ”ではありません。挿絵の「麻疹(はしか)送出しの図」を見てみて下さい。麻疹の流行を象徴した麻疹童子なるものを送り出す(鎮める)ために、赤い御幣(ごへい)を背負わせ、赤い餅と赤飯が供えられています。御幣も餅も通常は白ですが、病気を退ける呪術的な意味をこめて特別に赤く染められています。ですから、お供えのご飯も「赤」であることに意義があったわけです。  民俗学者 柳田国男は、赤飯の原始的な姿は赤米(あかごめ)の飯であるとしました。本来、お祝事では赤米のご飯を食べることを習慣としていましたが、赤米栽培の衰退に伴って、小豆でご飯を赤く染めて代用するようになったといいます。食べ物を赤く染める点で小豆は特別な食材です。  一旦はすたれた赤米(あかごめ)ですが、最近復活し、古代米などと称して料理のメニューに入れられているのをよく見かけます。弥生時代以前から雑穀の一つとして焼畑などで赤米が作られていたらしく、近世でも田舎には残っていました。しかし赤米は明治以降、強制的に排除されます。それは白い米に赤い米が混じって流通するのを行政が極端に規制したからで、赤い米が混じるのは後進・未開だという社会的なイメージが背景にあるのでしょう。赤=(未開・呪術的)←→白=(開化・日常的)といった整理ができるでしょうか。  へ~そうなんだ、と思っているあなた。あなたが昼食に赤米・古代米のメニューを選んだ時、それは「赤」の呪術にかかったからかもしれませんよ。(いや、食べるなと言っているのではないです、美味しいですよ)

【挿絵解説】麻疹(はしか)送出しの図(東京都立中央図書館特別文庫室蔵 芳藤作 文久2、1862年)町田市立博物館図録『錦絵に見る病と祈り』1996年 より 無断使用厳禁 麻疹を擬人化した麻疹童子を送り出して、麻疹の流行を終焉させようとする図。病の禁物として「房事・入湯・酒・そば・川魚・梅干」などがあげられ、良き物として「かんぴょう・ゆり・大根」などともに小豆があがっている。

【参考文献】・深谷克己「赤米排除」『史観』109、1983年 ・坪井洋文「稲作文化の多元性」『日本民俗文化大系1』小学館、1986年 ・安室知「アズキとコメの儀礼食」『和菓子』11、2004年

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