フキの下の神様

フキの下の神様 イメージ

 菓子づくりの材料アンゼリカは、日本ではフキを砂糖漬けにして作られています。素材となるフキは一般的な種類ではなく、秋田フキという傘の代わりになるような大きなものです。  珍しいものであったらしく、秋田藩の五代佐竹義岑公が江戸城に参上した際、お国自慢に葉が長柄の傘(大型の傘)程もある大フキの話しをしたところ、大名たちに「それは大嘘だ、うそは本当っぽくつくものだと家康公もおっしゃっていた」と笑われた。そこで彼等を佐竹邸へ招待し、わざわざ秋田から大フキを取り寄せ、それを料理に出して憤りを晴らしたそうです。なんだか天下太平な話ですね。  この秋田フキは、北海道にも分布していました。アイヌの伝説にでてくるコロボックルという小人は、一般に「フキの下の神様」の意味に解釈されています。コロボックルが有名になったのは、明治の中頃、人類学者の坪井正五郎が、実在説を広めたからです。もちろん今では否定された学説ですが、当時は随分と注目を集めたようです。アイヌ以前に北海道には小人が住んでいたとは夢のある話しで、受けが良いのも分かります。実在説を批判された坪井は、国からお金を貰って仕事をしているのだから、国民に支持される仕事をすべきだと応えたそうです。もし確信犯だとすれば、ちょっと許せない。

【挿絵解説】「秋田市蕗刈り撮影会」写真 秋田市ホームページ広報課 写真館より 無許可転載厳禁。

【参考文献】・「秋田杉直物語」『列侯深秘録』国書刊行会、1914年 ・ひじもとひでを『アイヌ研究史』みやま書房、1968年 ・坪井正五郎「コロボックル北海道に住みしなるべし」『論集日本文化の起源5』平凡社、1973年、初出1887年 ・宇野浩二「蕗の下の神様」『北海道児童文学全集1』立風書房、1983年、初出1921年

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