牛蒡の存在感

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 おせちといえば、何を思い浮かべますか。数の子・田作・黒まめ・かまぼこ・きんとん・昆布巻などでしょうが、ゴボウも欠くべからざるキャラクターですね。でもなぜゴボウなのでしょう。もちろん、きんぴらにしても、煮付けにしても美味しいですが、とりたてて御馳走でもなく、むしろその無骨な容貌は華やかなおせち料理には似合わないような気がします。  実はこの無骨さにこそおせちに選ばれた理由があるのです。ゴボウの古名は「悪実(あくじつ)」です。ただし、この「悪」は、「わるい」でななく、「強い」の意味で、強い植物という名称でしょう。そもそも、ゴボウは薬草として中国から輸入され、近世にいたっても利尿・解毒・長寿といった効用があると認識されていました。つまり正月のゴボウ食には、人々の健康への願いが込められていたのです。

【挿絵解説】伊予牛蒡図(『日本山海名物図会』名著普及会、1975年より) 京都八幡の牛蒡は高名であったが、伊予の牛蒡の方が大きいと紹介する。確かに現代の牛蒡より太いように見える。千葉の大浦牛蒡なども太い種類であり、かつては太く成長する品種が珍重されたのであろうか。

【参考文献】・冨岡典子「奈良県桜井市域の神饌に伝承される祭りのごぼう料理」『日本家政学会誌』51、2000年 ・松下幸子『祝いの食文化』東京美術選書、1991年 

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