恐竜のごちそう~銀杏~

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 なぜ銀杏と書いてイチョウと読むのでしょう。それは中国語の銀杏=鴨脚(ヤーチャオ・イチャオ)の読みだけが日本に取り入れられ、転じてイチョウになり銀杏の漢字にあてられたから、という説が有力です。イチョウの葉は水鳥の足型に似て独特ですが、それには訳があります。  イチョウは「生きている化石」などといわれ、ジュラ紀・恐竜の時代に地球規模で繁栄した古生植物の生き残りです。ただし氷河期にはほぼ絶滅し、中国のごく一部にのみ生き残り、それが人の手により植樹され、やがて朝鮮・日本にも持込まれました。ですので日本のイチョウには野生種は存在しません。日本には鎌倉時代後期から室町時代にかけて、禅僧を介して持込まれたようです。  銀杏の実は美味ですが、周りの軟らかい果肉がとても臭いのが難点ですね。恐竜も鼻をつまみながら食べていたのか、あるいは臭い果肉の方が好物だったのか、などと想像しながら食べると、いつもとは違う味わいになるでしょう。

【挿絵解説】鶴岡八幡宮境内図(『東海道名所図会』名著普及会、1975年) 江戸中期の様子です。中央の石段の左側に大イチョウがみえます。鎌倉三代将軍源実朝は、鎌倉初期にあたる承久元年、このイチョウの陰に隠れていた甥公暁によって暗殺されたので、「隠れ銀杏」と呼ばれています。しかし、本文で指摘したように、この頃はまだイチョウは輸入されていませんでした。

【参考文献】・上原敬二『樹木大図説Ⅰ』有明書房、1961年 ・足田輝一「イチョウの下で実朝は殺されぬこと」『草木夜ばなし・今や昔』草思社、1989年 ・柴田松太郎「鎌倉・鶴岡八幡宮の大銀杏(隠れ銀杏)」『地学教育と科学運動』41、2002年

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