熨斗を付けること~あわび~

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 もし結婚式のご祝儀で、たとえ金額に過不足がなくとも、裸のままだったり、普通の封筒に入っていたらかなり嫌な感じですよね。「熨斗を付けて返す」といった言葉がありますが、熨斗の付いた袋が熨斗袋でして、熨斗を付けるというのは、贈り手の丁寧な意志を伝えるためでしょう。じゃあ熨斗ってな~に?と聞かれてつまる人も多いのではないでしょうか。  実は熨斗とは"のし鮑"のことです。のし鮑とは鮑を細長く切って"のす"、つまり引き伸ばして乾燥させた食品で、お酒の肴として珍重された古代以来の高級食品です。のし鮑は、伸ばして加工することから、そばなどと同様に長寿を連想させる縁起物でもあります。ですので、本来はお酒などに添えて贈られていましたが、なにしろ高価ですので、やがて模型となり、ついには印刷された図柄となりました。お宅の引出しの熨斗袋を見てみてください。矢印状の絵柄の中央には必ず棒状ののし鮑が描かれているはずです。

【挿絵解説】長鮑(のし)を制す図(『日本名所図会全集(日本山海名産図会)』名著普及会、1975年) 伊勢でののし鮑の製法を描いています。鮑は大根のかつらむきの要領で細長く切られ、それがムシロの上で引き伸ばされ干されている様子がうかがえます。

【参考文献】・柳田国男「のしの起源」『定本柳田国男集14』筑摩書房、1962年、初出38年 ・川島四郎「熨斗をつける日本の風習」『風俗(日本風俗史学会)』15-2・3、1977年 ・矢野憲一『鮑』法政大学出版局、1989年

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