ドングリが美味しそうな理由(わけ)

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 日本海側の豪雪は対馬海流が要因です。暖流である対馬海流が日本海へ入りこみ、シベリアからの寒気と出合うと、海流と寒気の温度差により激しい蒸発が起き、その水分が雪となって日本海側へ降り注ぎます。これが寒冷で海水面が低かった氷河期には対馬海流は日本海に入りこめなかったので、大陸から吹き付ける冷気により日本列島はフリーズドライ状態で、たぶんモンゴルの平原のような風景が広がっていたのでしょう。  これが氷河期の終る1万2千年前ころになると、気温・海水面が上昇し対馬海流が北上して、現在に近い多雪の気候をもたらしたのです。こうした気候の変化によりブナ・ナラなどの落葉広葉樹の森林が日本列島をおおってゆき、草原をすみかにしていたナウマン象など大型の哺乳類は姿を消してゆきました。食料を失った旧石器人が新たに見つけた食料は、落葉広葉樹の森でとれる栗・ドングリ・クルミ・トチの実など堅果類、つまりナッツ類でした。それらを調理したり貯蔵したりするための土器が開発され縄文時代がおとずれるわけです。  ただしドングリなどはアクが強いのでアク抜きして食べなければなりません。潰して水に晒したり、加熱したりしてデンプン質だけを取り出す技術が生み出されることになりました。こうした森林の恵みドングリにより豊かな縄文文化が支えられていました。なんとなくドングリが美味しそうに見えてきたでしょう。

【挿絵解説】『和漢三才図会』三一書房、1980年より 『和漢三才図会』は、江戸時代の正徳2(1712)年に成立した日本・中国の図入事典。そこに載る「槲貫 どんぐり くぬき」を引用しました。説明文には「その実苦ク渋シテ味悪シ」としながら、飢饉の歳には食べたとあります。

【参考文献】・安田喜憲「ドングリと雪と縄文人」『全集日本の食文化3』雄山閣出版、1998年 ・高橋龍三郎「縄文社会の変革と堅果類利用」『民俗文化』19、2007年

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