豚肉を食べない'わけ'

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 日本人の主食は米ですが、稲作と一緒に養豚・豚肉食の文化も入ってきたといわれています。それ以前の縄文時代では、野性の猪が食生活の重要な食材でしたが、その猪が飼育されて豚になった、というわけでなく、中国大陸から養豚用の豚がもちこまれた可能性が高いということです。  弥生人は宗教儀礼として豚を神に捧げたり、頭蓋骨を割って脳を食材としたらしいですが、こうした文化は縄文人には見られませんので、大陸から稲作文化と一緒に渡来したと考えられます。また余談ですが、縄文人は犬を丁寧に埋葬していることから、犬をペットとして飼っていたらしいのに対し、弥生人のごみ捨て場には犬の骨が散乱して捨ててあるので食用だそうです。この辺の食文化も縄文人と弥生人ではかなり異なっています。  その後、稲作は日本に定着しましたが、豚肉食・養豚は縮小していきます。その理由は、仏教の殺生禁断の教えとか、”穢(けがれ)”を嫌う日本独自の文化とかで説明されています。でも全く無くなったわけではなく、江戸時代でも細々と継承されています。さらに横浜開港以降、豚肉食は開明的なイメージに一転し、御馳走の地位を得るわけで、なんとも納得のいかない豚さんでした。

【挿絵解説】豕・野猪の図(『訓蒙図彙』早稲田大学出版部、1975年より) 西遊記の「猪八戒」は豚ですね、ですので中国では猪=豚だそうです。実際、日本の野生の猪と飼育されていた豚では、体格や骨格に違いはあるものの、DNAはほとんど変わらないそうで、究極的には野良猫と飼猫の違いのようなものでしょうか。

【参考文献】・田信男「日本中世における肉食について」『論集 東アジアの食事文化』平凡社、1985年 ・塚本学「ブタにも歴史があります」『江戸時代人と動物』日本エディタースクール出版部、1995年 ・山本光正「横浜開港と房総地域における豚の飼育」『東海道神奈川宿の都市的展開』文献出版、1996年 ・西本豊弘「ブタと日本人」『人と動物の日本史Ⅰ』吉川弘文館、2008年

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