高知の日曜市

00市はかつてのスーパーマーケットであり、デパートでもあったところ。モノと人が集まる交流の場所です。あちらこちらに24時間営業のコンビニがあっていつでも欲しいものが手に入る現在でも、日本各地で市はしっかり息づいています。その土地の季節の産物を土地の人たちが売り買いする市は、風土の暮らしぶりが垣間見えて魅力たっぷりです。

なかでも南国・土佐、高知は知る人ぞ知る市の町。市内では月曜日を除く毎日、どこかで曜日を冠した街路市がたっています。日本各地には観光客目当てになってしまった市も多いのですが、高知の街路市は今も現役。市民にとってなくてはならない場です。その始まりは江戸時代にさかのぼるそう。近郊の農民が余った野菜を高知城下に売りに来ていたのが始まりとされています。

00街路市のうち、とびぬけて規模が大きいのが、駅前の電車通りから高知城の追手門にいたる追手筋にたつ日曜市。普段は車往来が激しい追手筋が、日曜日はずらりと店舗が並ぶ市に大変身します。全長1.3kmに500店あまりもの店舗が連なるさまは迫力満点。それぞれのお店で取り扱っているのは、自家栽培の野菜や果物、薬草茶、漬け物、おまんじゅうや田舎寿司から、草花、洋服、土佐刃物、骨董品などで、バラエティーは実に豊か。うどん屋さん、串焼き屋さん、高知名物のアイスクリンやいも天を食べさせてくれる店もあります。季節の農産物や高知ならではのおいしいものがいつもあふれているのです。

00日曜市の朝は早い。春夏秋冬、夜明けとともに始まります。ほの暗い追手筋に行くと、商品と店舗の骨組みを積んだ軽トラックが次々と到着。おじさんやおばさんが手馴れた様子で、竹や金属製の骨組みを組み、みるみるうちに店舗が登場。ぴちぴちと元気な野菜やまだ温もりの残るてづくりのおまんじゅうや田舎寿司などが並べられていきます。季節によって店が出揃う時間はまちまちですが、朝8時頃には大体の店舗が開店。観光客も多く訪れる日曜市ですが、午前中の早い時間は地元の常連客がほとんどで、朝の散歩がてらに買い物をしている人も多いようです。この時間帯はまだ空いているのでのんびり買い物ができるのもいい。カートを引いたおばあちゃんと売り子さんとで長話をしている姿もちらほら見かけます。それに、売り切れじまいのお店も多く、いい品物や人気のものは午前中になくなってしまうこともしばしば。私が春から初夏にトマトを買っているお店でも11時を過ぎるとほとんど売り切れになってしまいます。お目当てがあるなら、午前中のお買い物がいいですよ。

00午前中はのどかな雰囲気だった市もお昼近くなるとどんどん人が増えてきます。太陽が高くなるにつれ店舗と店舗に間の庇にかけたビニールシートの面積も増えて、その下では行き交う人がワイワイ。観光客や地元の家族連れも繰り出して実ににぎやかです。天気がいい日はなかなか前に進めないほどに込み合ってしまうこともあるので、午前中に目当ての買い物を済ませたら、後は人の波にゆられて、あっちへ寄りこっちで食べて、のんびりそぞろ歩きます。
季節によって違いますが、春や初夏は午後3時を過ぎるあたりから、店仕舞いのムードに。どこか1店が店をたたみ始めると堰をきったように次々と店舗がたたまれていきます。開店時と同じようにトラックが来たと思ったら、空になった木箱や竹の骨組みが積まれて何処かへと。追手筋は一瞬ひっそりとした後、いつもの往来の多い通りに戻っていきます。

00さて。高知の日曜市で楽しいのは、何よりも地元の人とのやりとりがあること。東京では見かけない野菜や食べものもいろいろありますが、お店の人にたずねてみると、自分でつくったものを売っているのでとても詳しい。その由来から食べ方までとても丁寧に教えてくれます。お店の人とやりとりをしていると、常連さんが会話に入ってきてまた違う食べ方を教えてくれたりすることもしばしば。新しい発見があるだけでなく、なんだか大らかな気分になるのです。
春から初夏にかけてのこれからの季節は特産のトマトや小夏、葉野菜などとりどりの野菜や果物が出そろいます。高知の日曜市はくいしんぼうや料理好きの方にはぜひお薦めしたい市。一度訪れるときっとまた行きたくなるはずです。


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