木蓮一輪
里から木蓮の枝が届きました。ずっしりと花をつけた枝です。車で数分走れば桜も咲いているのに、私たちのまわりの木々には、まだひとつの花も見えません。
数年前、友人が三杯酢をかけた木蓮の小鉢を差し入れてくれました。美しい花の一鉢は、とても美味でした。年をおいて、隣町から通うスタッフが、季節になると庭の木蓮を運んでくれるようになりました。その時一度だけ、この花を賞味します。たっぷりと飾られた枝から戴く少々の幸。ふっくらとした花は、ふっくらとした仄かな味と香りです。
毎年の植物たちの記憶がリズムとなり、私たちの細胞も息づきます。四季が確かに巡り、小さな恵みをいとおしむ人たちのいるこの土地が、切ないほど好きです。
《木蓮一鉢》
〈材料〉
・木蓮の花 2~3輪
・酢、またはレモンなどの柑橘類
・しょうゆ
〈作り方〉
(1)木蓮の花びらを熱湯で茹でる。
(2)冷水にさらす。
(3)しっかりと水気を絞り、食べやすい大きさに包丁を入れる。
(4)ボールに木蓮を入れ、少々の酢(またはレモン)、しょうゆで味を付ける。薄味が美味しい。お好みでレモン、三杯酢もよし。
07.04.23
【文】萩尾エリ子 【写真】原田留里


