北のたらこ飯
札幌に、友を訪ねました。三年前に蓼科で出会って以来の親友です。精神科ナースを続け、結婚という形をとらず、子供を産み育て、長年のパートナーとご両親と暮らし、在宅ケアからクリニック、宿泊施設をたちあげ、時折、深く傷つきながらも、毎日料理をし、洗濯をして、笑って生きてきた、とびきりの女性です。
北の女のご飯はうまい。蓼科在住の短い間に、私もスタッフも、すっかり心も胃の腑も掴まれました。彼女も、私たちの薬草、香草織りなす魔女風味に感激。以来、蓼科でワークショップを開くに至っています。
三泊四日の旅の初日、寿司屋さんで彼女がしめに所望したのは、斜め切りしたたらこが、花びらのように盛られた、小さなご飯でした。北海道人はたらこ好き、常備の品。カウンターの人々が、口々に言いました。残念、もうお腹は一杯です。
最後の朝に、小樽の市場に行きました。居並ぶ海の幸、連日戴いたのに、まだ未練!格安の壊れたたらこは、目利きの友のおすすめ品。手荷物の発泡スチロール箱に加わりました。
帰ってから、たっぷりと堪能しました。つややかなご飯の上にのせたたらこは、ふわふわとはらはらと、柔らかく甘く、顔中がほころびます。これは、ほんものの日本のご飯です。若者よ、ファーストフードばかりではなく、こうしたものをもっと食しなさい。たらこが私のカアサン魂に、ぽっと灯をともしました。
《たらこ飯》
〈用意するもの〉
・炊きたてのご飯
・たらこ
〈召し上がり方〉
・たらこは切って、花びらのように並べ、あつあつご飯にのせる。
・時には、柑橘類を少々搾る。アサツキ、小ネギなどを、散らすのも美味。
海あり、山あり、たんぼありの日本、大切に守りたいもの。
07.03.12
【文】萩尾エリ子 【写真】原田留里


