ハーバルパレット -野の記憶-
雪が溶けてもなお、枯草色の風景が続きます。庭では、イタリアンパセリや匂いスミレの葉が僅かな緑を見せ、スノードロップの花が咲きはじめたばかりです。冷たい空気の中に、確かに「春」の匂いは感じられるのですが、少々、野の香りが恋しくなりました。
ビンの中のドライハーブを口に含むと、ゆっくりと香りが広がります。タイム、セージ、ローズマリー、マジョラム、オレガノ‥‥シソ科の植物たちを、一種類ずつパラパラと、オリーブオイルに混ぜました。白いお皿にポトリ、ポトリと垂らします。香ばしいパンをひと切れ、お気に入りの塩も置いてみました。
フレッシュハーブは、光そのものが作り出す、輝く香り。ドライハーブの香りには、野と光の遠い記憶が埋めこまれています。海の記憶である塩を振り、本を読むように、ひもとくように、パンを浸し、口に運ぶ。次は、舌と鼻を研ぎ澄ませて、絵の具のように混ぜあわせて食べます。
ああきれい、まあ美味しい。早春の蓼科の窓辺の楽しみ。熱いお茶と共に味わいます。
《ハーブオイル》
〈材料〉
・美味しいオリーブオイル
・ドライハーブ
(タイム、セージ、ローズマリー、マジョラム、オレガノ、バジルなど少々)
・美味しい海の塩
・美味しいパン
〈作り方〉
(1)小さなグラスなどに、それぞれのハーブを小さじ1/2ほど、オリーブオイルを大さじ2杯ほど入れ、よく混ぜる。バットなどに熱湯を入れ、湯煎をすると香りがよく出ます。
(2)白いお皿にそれぞれのハーブオイルを垂らし、塩も盛る。
(3)パンにつけてひとつひとつ味わう、色々混ぜあわせて味わう、どちらでも。塩気は適宜。
07.02.26
【文】萩尾エリ子 【写真】原田留里





