Green Soul Food

おじいさんの雪見酒

おじいさんの雪見酒

私の祖父は、粋な人でした。晩年も、近くの水商売のママたちに、よく声を掛けられたものです。祖母に家庭内別居を宣言された折は、七輪で火をおこし、牛鍋を煮ていました。温めなおして、日に日に濃くなった汁は、白いご飯がよく合います。ちょっと羨ましくもありました。

母は長期入院、父は時々家出。私は祖父母と過ごしました。東京で雪が積もることは少なかったのですが、ある日の大雪に、祖父は言いました。「雪見酒だな」。
三軒茶屋から玉電という電車に乗り、母の面会に郊外の病院へ行ったときも大雪でした。川沿いの桜の木にずっしりと雪が積もり、それは美しい風景でした。小さいながら、祖父の後ろ姿に「雪見酒!」と思いました。

蓼科の冬は、白い雪で覆われます。ありあわせの肴と熱燗、障子越しもよし、盆を持って外もよし。お祖父さん、雪見酒はこの上もなく上等です。

《酒の肴》

○干もの
オリーブ油を塗って、ビタクラフトのフライパンで焼く。

○さんご塩
奄美大島、加計呂磨島の、ゆっくり釜焼き、手作り。燃料は間伐材。作る過程で汗をかいて、働く人たちが健康になってゆくという、不思議に甘い塩です。

○ゆずこしょう
ちびちびと舐めるのが美味しい。

07.01.15

【文】萩尾エリ子  【写真】原田留里

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