病院のなつめ
諏訪中央病院の庭には、一本のなつめの木があります。秋の輝くような実は袋に詰められ、私たち庭のボランティアの活動資金を得るためのバザーで売られます。生で食べるとりんごのよう、果実酒、シロップ漬け、また乾燥してなど、これまでは一般的な売り口上でした。今年から、飛騨高山伝統の甘露煮のレシピ付き、試食付きとなりました。試食は強い。お陰様ですぐに完売です。
バザーは盛況で、たくさんの球根を購入することができました。色づいた木の葉は地を覆い、大切に土の中に入れた球根を守ります。葉を落とした木々の頭上の空は、広く、青く、貴重な冬の光を平等に分け与えてくれます。もちろん、なつめの木のまわりにも、可憐な早春の花々が咲くことでしょう。
私たちも作ったなつめの甘露煮は、プルーンのような、なつめやしのような、味わい深いひと粒でした。滋養、強壮、のどに優しい、なかなかのお茶うけ。保存食のはずでしたが、楊枝で差しては食べているうちに、なくなってしまいました。
今日のレシピは、バザーの応援に駆けつけて下さった高山在中のナースの文章、そのままを載せました。細かい量は書いていないのに、うまく作れる。勢いのあるレシピです。 なつめに出会えたら、どうぞ恵みの一品を。
《飛騨高山 なつめの甘露煮》
〈作り方〉
(1)なつめのホゾ※を楊枝でとる。
(2)大きい鍋になつめを入れて、たっぷりの水でコトコトと煮る(強火で煮ると実がやぶれる)。
(3)あくをとりながら、柔らかくなるまで煮る。
(4)なつめがぷくぷくになったら、砂糖を入れ(ドボドボドボっという感じ)、弱火で煮る。
(5)味がよくしみ込んで、煮汁がとろりとするまで弱火で煮て、なつめに照りが出てきたら、しょうゆを入れて出来上がりです。一晩置くと良く味がなじみます。
※ホゾ - 「へた」の事。面倒でもこれを丁寧にとるのがコツです。
以前、飛騨高山には、家庭で作ったものを缶詰にしてくれるところがあり、この甘露煮も常備の一品だったそうです。いい話です。
06.11.13
【文】萩尾エリ子 【写真】原田留里


