息子の手料理
17才から英国に渡り、今も働きながら学生をしている次男に、ロンドンで会いました。彼は、手作りのご飯でもてなしたい、食材は全てオーガニックでと、うきうきと計画していました。メニューは、テームズ河畔の古本屋さんで手に入れたフランス料理の本、分厚いものと薄いものの2冊から。頭の中では準備万端です。
彼はPA、クラブやライブでの音響が仕事ですから、夜遅かったり、急に仕事が入ったり。買い出しはぎりぎりになって、東奔西走。なにせレシピに忠実に、全てはオーガニックですから。物価の高いロンドンのこと、母は貴方の財布が心配でした。
両手に幾つもの買い物袋を下げて、図らずも私たちゲストと一緒に自宅へ。明朝、共にパリに発つ友人は、ディナーの行方が少々不安。アシスタントの私もフル回転です。
切れない包丁の中に、切れ味抜群の一本あり。以前、私が持たせたものでした。共同の台所で、フラットメイトはサムライナイフと呼ぶ、一番人気の包丁とか。私の鼻はピクッと高くなりました。
その夜の遅い夕食は、最高の美味。素材も良し、何より愛がある。これだけでも旅をした甲斐がありました。
走り廻った息子よ、ほんとうのご馳走様。
《LEYLAND 144 / MENU》
今回はメニューのみです。アシスタントは、ただただ美味しくいただいたのです。
〈スターター〉
・ブラックオリーブのタプナード
時間をかけて水分をとばしたスライストマトに、こんがりフランスパン
・マグロのカルパッチョ
レモンの皮を浸けこんだオリーブ油とケイパーが、冷たい薄切り、たたきカルパッチョにぴったりでした。
〈メイン〉
・ラムシチュー
ジャガイモ、にんじん、かぶなど、野菜がふんだんに入り、柔らかくてこくのある、身体に浸みる絶品シチューでした。ちゃんとブーケガルニ使用。
〈デザート〉
・ベリーいっぱい、蜂蜜がけのヨーグルト。
〈ティー〉
・カモミール
06.09.11
【文】萩尾エリ子 【写真】萩尾エリ子




