蓼科カクテル
今は亡き、名バーテンダーの今井清さんは、ミスター・マティーニと呼ばれました。彼の作る、きりりと冷えたとびきりのマティーニを求めて、当時のパレスホテルのバーへ、多くのお客様がいらしたそうです。
彼のお酒の講義と、カクテルを作る細やかな技は、私の心に深く感銘を残しました。もっと、ずっーと若い頃のことです。蒸留酒、スピリッツ、そしてリキュールには、歴史、風土、植物、文化が織り交ぜられ、息づいています。私はここから、薬草、芳香療法に至る道のりを歩き始めたのかもしれません。
やがて信州の書店で手にした本は、「ラルース カクテル事典」。今井清さんの監訳によるものでした。「カクテルとは、加えることではなく、加え方である。さまざまな処方を試した末に、初めて独創性を発揮する技なのだ。」と書かれていました。懐かしく、心躍り、以来ここで手に入るもの、ここにあるものでカクテルを作ることが、とても楽しみになりました。
南仏のパスティス、庭のカシスやデイジーの花、瑞々しい夏のきゅうりが、カクテルの中で輝きます。グラスを冷やして、スピリッツを冷やして、手早く美しく。私の蓼科カクテルブック、これからもページ数を増やすことでしょう。
ミスターマティーニに乾杯。
《シャンパン・ベルベーヌ》
〈材料〉
・レモンバーベナ ひとつかみ(ドライまたはフレッシュ)
・シャンパンまたはスパークリングワイン
・桃 ひと切れ
〈作り方〉
(1)レモンバーベナの濃いめのハーブティーを作り、冷やしておく。
(2)フルートグラスにシャンパンを半分ほどそそぎ、レモンバーベナティーを加え、静かに混ぜる。
(3)桃をひと切れ加える。
※ノンアルコールの場合は、シャンパンを炭酸水、ペリエ、ジンジャエールなどに代えてお試し下さい。
《テキーラ・デイジー》
デイジーとは、カクテルのスタイルのひとつですが、私たちのデイジーは花付きです。
〈材料〉
・テキーラ 40ml
・ライムジュースまたはレモンジュース 15ml
・自家製カシス酒 大さじ2
〈作り方〉
シェイクして、クラッシュドアイスを入れたグラスに注ぎ、炭酸で割る。
《ピロケ ※オウムの意》
〈材料〉
・パスティス 40ml
・ミントシロップ 大さじ1
・ミントの枝
・きゅうりのスティック
・ミネラルウォーター
〈作り方〉
(1)1カップの水に対して砂糖1/2カップを溶かし、多少煮つめる。
(2)ミントの葉をひと握り加え、冷ます(ミントシロップのできあがり)。
(3)冷やしたグラスにパスティスを注ぎ、ミントシロップを加える。
(4)冷やしたミネラルウォーターで割る。
(5)きゅうりとミントを飾る。
※3種とも、「ラルース カクテル事典」(ジャック・サレ 著・今井清 監訳/同朋舎)をベースに作成しました。
06.08.21
【文】萩尾エリ子 【写真】原田留里




